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一般財団法人日中経済協会
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第9回(2015年・東京)【全体会議等全般】

はじめに~写真で振り返るフォーラム

開催概要

日中経済協会は、経済産業省、中国・国家発展改革委員会、商務部、中国駐日本国大使館との共催で、2015年11月29日、東京にて「第9回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催いたしました。

日本側からは、宗岡正二日中経済協会会長のほか、林幹雄経済産業大臣、丸川珠代環境大臣、高木陽介経済産業副大臣、中国側からは、張勇国家発展改革委員会副主任、高燕商務部副部長、程永華中国駐日本国大使はじめ、両国政府・企業・団体・専門家等、官民関係者合わせて約750名(日本側約470名、中国側約270名)が参加、26案件の協力プロジェクトがこの場で披露されました。

さらに会場入口にはパネル展示のスペースを設け、15社(日本側14、中国側1)がブースを出展、省エネ・環境技術を直接紹介する場としました。

午後からは、エネルギー多消費企業の省エネルギー対策、スマートシティ、次世代自動車、 循環経済、石炭火力発電、日中長期貿易(水処理・汚泥処理、自動車リサイクル)の6分科会を開催しました。また、中国側の分科会参加者は、11月30日~12月2日にかけて、日本各地の関係施設・企業を視察しました。

1. 日程:2015年11月28日(土)~29日(日)

2. 会場:東京 ザ・プリンスパークタワー東京

3. 規模:約750名(日本側約470名、中国側約270名)

4. プログラム:
(1)11月28日(土)
 協力プロジェクト文書調印式
 立会い 吉川 徹志 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課長
王  静波 国家発展和改革委員会環資司協調処処長
 
(2)11月29日(日)
【全体会議】 10:00~12:30
 開会挨拶・基調講演
  高木 陽介 経済産業副大臣
  張   勇 国家発展改革委員会副主任
  高   燕 商務部副部長
  宗岡 正二 日中経済協会会長
  程  永華 中国駐日本国大使
 調印案件フォローアップ
  日下部 聡 資源エネルギー庁長官
 日中企業による協力プロジェクト紹介
  彭  寿 中国建材国際工程集団有限公司董事長
  小久保 憲一 株式会社日立製作所執行役常務・中国総代表
 協力プロジェクト文書交換式
 林  幹雄 経済産業大臣挨拶
 丸川 珠代 環境大臣挨拶
 閉会(岡本 巖 日中経済協会理事長/総合司会)
 
【分科会】 13:30(14:00)~18:30
 エネルギー多消費企業の省エネルギー対策
 スマートシティ
 次世代自動車
 循環経済
 石炭火力発電
 日中長期貿易

全体会議 開会挨拶・基調講演 発言要旨(発言順)

高木陽介 経済産業副大臣

高木陽介 経済産業副大臣
  • 中国と日本は世界第2位、第3位の経済大国であると同時に、世界第1位、第5位のエネルギー消費国。温室効果ガス排出量では日中両国で世界の4分の1を占める。日中両国はエネルギー・環境問題の解決に大きな責任を有する。互いの知見を共有し、協力関係を深化させることを期待。
  • 我が国のエネルギー効率は既に世界最高水準にあるが、引き続き一層の省エネ努力を進める。2030年時点で更なる省エネルギー対策を導入した結果として、原油換算で5,000万キロリットルを超える省エネ量を見込む。石油ショック後の約20年間と同程度のエネルギー効率改善。我が国の温室効果ガス削減目標の達成に向けても、エネルギー効率改善が中心的役割を果たす。
  • 経済発展に伴い都市化が急速に進む中国において今後特に重要なのは都市におけるエネルギー需給構造の変革。我が国では地域単位でエネルギーを賢く使う「スマートコミュニティ」の構築を推進。再生可能エネルギーやコージェネレーションなど地域で創られたエネルギーをEMSを活用して地域で消費したり、消費者が持つ蓄電池などの設備や省エネの取り組みを組み込み、地域エネルギーを最大限活用すると同時に、系統の安定化に寄与する仕組みを作る。今後、中国との間で、この分野での協力を積極的に進めたい。

張勇 国家発展改革委員会副主任

張勇 国家発展改革委員会副主任
  • 省エネ環境保護は中国の基本国策。
  • 第11次五カ年計画以降、2006年~2014年の9年間で単位GDPエネルギー消費の累計は29.9%低下、標準炭換算13.1億トン相当を節約。世銀によればこの20年間の中国の省エネルギー累計は世界の省エネルギー累計の57%に相当。
  • 2012年、中国共産党第18回大会で生態文明建設を強力に推進する戦略配置を決定。先日の五中全会では、創新・協調・緑色・開放・共に享受の発展理念により今後5年間の中国の経済社会の青写真を描いた。
  • 以下の5つの分野で生態文明建設と緑色発展を推進する。
  1. 空間と産業配置の最適化
  2. 資源を全面的に節約し高効率に利用
  3. 環境対策と生態保護を強化
  4. 低炭素循環発展の推進
  5. 生態文明制度体系の健全化

  • 双方の努力により省エネ環境は中日経済協力の一大ハイライトとなった。中国の生態文明建設においても省エネ環境を代表とする緑色産業は巨大な潜在力を持つ市場。この5年、中国の省エネ環境産業は年率15%の成長、今年の生産額は4.5兆人民元と、いまや国民経済の支柱的産業。
  • 先般、中日双方は、戦略互恵関係を引き続き推進し、省エネ環境等分やの実務交流強力でコンセンサス。これを目標に、我々は一層、政府間、団体間、企業間の交流を強め、両国省エネ環境協力を新しい段階に進める必要。以下4つ提案する。
1.双方向、多方向のメカニズムを引き続き発揮
中日省エネワーキングチーム、再生可能エネルギーワーキングチームの積極的な活動により政策対話を強化。両国環境協力連携行動を展開、大気汚染等地域性環境問題に共同で対応。大連循環産業経済区、河北曹妃甸工業区等中日韓経済モデル基地建設を推進。
2.モデルプロジェクト協力を不断に深化
8回までに259件のプロジェクトに調印、目下大部分は順調。今回は26件を調印。積極的にこうしたプロジェクトが成果を挙げるようにし、成功した事例は積極的に普及させなければならない。問題のあるプロジェクトは共同で解決を検討する。同時に協力分野を拡大し、潜在力を発掘し、さらなるモデルプロジェクトを普及させる。
3.技術交流を着実に強化
良い技術は省エネ環境推進の原動力。中国も最近は先進的で実用的な技術や企業が出現しており、双方がさらに先端的な、価値の高い省エネ環境技術によって協力を深め、提携して第三国市場を開拓し、世界に新技術、新製品、新理念を提供しよう。
4.人材交流を引き続き強化
中国は毎年省エネ活動人員を日本に派遣して日本の省エネ政策体系、管理経験と先進技術を学び、良好な成果を挙げており、これに感謝する。引き続き政府・企業・研究機関・学校間の人員交流を強化し、中日省エネ環境協力のために人材的基礎、知的支えを確立し、人材交流によって政策・技術の相互疎通を図るべき。

  • 明日COP21がパリで開催される。各方面の共同の努力で、パリの会議が公平・全面・均衡・有効な合意を採択でき、条約の全面・有効・持続的な実施を強化し、マイルストーンとなる会議になることを期待。
  • 中日両国はともに経済大国でありエネルギー消費大国。省エネ環境は両国国情の必然的選択であり、共同の利益の所在でもある。
  • 2006年の第1回フォーラムから両国政府は一連の覚書、大量の実務協力プロジェクトを実施、モデルプロジェクト建設、人材研修、技術交流等で成果。
  • 双方は引き続き中日省エネ環境総合フォーラムというプラットホームを利用し、両国省エネ環境等分野の実務協力を深化し、中日緑色発展を共に開拓するために新たな貢献をしよう。

高燕 商務部副部長

高燕 商務部副部長
  • 商務部はグリーン流通や省エネ・環境産業の振興のため、以下のような政策をとり、両国企業のビジネスを支援している。
  • 法律・制度の充実:中古製品や資源回収・リサイクルに関わる制度・基準の制定。
  • リサイクル体系の整備:回収・分別・再流通の三位一体の体系構築。
  • グリーン流通体系の構築:グリーン小売店・市場・レストラン・物流による省エネ推進。
  • グリーン商品の供給体系:グリーン理念を調達・販売・消費の流通全過程で徹底。
  • 日中長期貿易協議委員会省エネ環境技術等推進部会の協力メカニズム(=フォーラム長期貿易分科会)のもとで、都市下水・汚泥無害化処理と自動車リサイクルをテーマにビジネスマッチングを実施し、過去18案件の生成に貢献。今回も汚泥炭化案件が調印に。
  • 新エネ・再エネ分野での中国企業の対日進出促進。
  • グリーン発展の理念は共産党18期5中全会で承認された第13次5ヵ年計画を貫くもので、中国の小康社会実現の5大理念のひとつ。13-5期間中には環境保全のための全社会投資規模は17兆元で、日本企業含む外国企業にとり大きなビジネスチャンス。
  • 近年両国貿易は低調なるも、世界第2、第3の経済国としての相互パートナー関係は不変。
  • 一方で省エネ環境分野は投資が大きい一方タイムスパンが長く、収益が出るまでに時間がかかる。04年から現在まで商務部による統計では日本の電力、水利、環境等の分野における対中投資は日本の対中投資累計の0.2%、1.2億ドルのみ。そこで以下を提案。
  1. 両国政府による政策対話の強化、制度設計推進と障碍除去。中国側はIPR保護強化、日本側には技術供与緩和を。
  2. 両国の企業には確信と忍耐で更にビジネス推進し、日本の優れた技術と環境理念の中国への移植実現を。
  3. 関係機関・団体による万全のサポートを。フォーラムや大気汚染対策協力ネットワークを活用しつつ、交流とマッチングを推進。
  4. 柔軟かつ多様な発想で両国の貿易・投資交流のグリーン化レベルアップを。また中小企業、地方での商機に加え、第三国市場での連携も視野に。

宗岡正二 日中経済協会会長

宗岡正二 日中経済協会会長
  • 2011年の第6回フォーラムで、当時の李克強副総理は本フォーラムを、日中WIN-WIN協力のハイライトであると高く評価。先月、日中経済協会訪中代表団が北京で李克強総理と会見した際、総理は経済構造改革、経済発展パターンの転換により次期5ヵ年計画期間中6.5%以上の成長を持続、その中で省エネ・環境対策にさらに力を入れると紹介。
  • 日本の産業界は、中国のニーズに貢献できる技術を保有しており、多くの場合中国のパートナーと合作して現地生産を行おうとしている。しかし、日本企業、日系企業の提案する技術や設備は、初期コストが割高であるとの理由から、なかなか採用されない。「性能が高く、長持ちするが、価格が高い」という日本製品と、「無駄なものをそぎ落とし、必要最低限の性能、長持ちするか否か不明、他方、価格は安い」という現地製品との選択の問題。
  • 問題解決の一つの方向は、初期導入コストのみを比較するのではなく、導入効果の大きさ、技術・設備の信頼性、性能の長期安定性、更に管理・メンテナンスのしやすさなど、運用期間を通じた当該設備のパフォーマンスを考慮したライフサイクルコストを適正に評価することにある。一例を挙げると、大型排ガス処理プラントの調達部門と運営部門とがばらばらではなく連携して、総合的なライフサイクルコストを評価することです。こうした方向が定着することにより、日系企業だけでなく、中国の環境産業の技術力の向上にも弾みがつくものと考える。
  • また、リサイクル製品の普及のためには、エコマークの表示や政府調達における配慮等制度的なサポートも望まれる。

程永華 中国駐日本大使

程永華 中国駐日本大使
  • 中国駐日本大使として3度目の出席。2006年からの10年を振り返ると、フォーラムは、すでに両国産業界が認める省エネ環境分野の重要な実務協力プラットホームであり、累計259件の協力プロジェクトにより両国人民に実際の利益と福利をもたらしている。
  • 明日のパリでCOP21が開催される。中日両国は省エネ環境分野で利益関係者であり建設的な協力パートナーでもある。13次五ヵ年計画でも緑色発展が五大理念の一つ。
  • 上述の目標達成のため、中国は日本などの世界各国との合作を願う。我々は日本企業が中国に投資し、中国の環境・新エネルギー産業・低炭素都市建設、生態システム保護等の分野で協力することを歓迎し、同時に中国企業が日本で同様の分野で投資することを積極的に支持する。
  • また、両国が国際的プラットホームに向け、協力の成果を分かち合い、中国の設備製造優位性と日本の先進技術を結合し、発展途上国に安くて品質の良い省エネ環境製品を提供し、世界の省エネ環境レベルを向上することを期待する。
  • 中日関係はここ数年の困難を経過して今、徐々に改善の方向にあるが、その勢いはいまだ弱く、双方が引き続き中日4つの政治文書、昨年合意した4つの原則に基づき、「歴史を鏡とし、未来に向かう」精神によって、たゆまない努力を持続しなければならない。

全体会議 調印案件フォローアップ 発言要旨

日下部聡 資源エネルギー庁長官

日下部聡 資源エネルギー庁長官
これまでのフォーラムを通じた日中協力の結果と、今後の取組への期待
  1. 調印案件の傾向と進捗 第1回~8回のフォーラムを通じて調印された259件には、日本企業・団体延べ341社、中国企業・団体延べ293社が参加。分野別では約半数が省エネルギー、4割が環境、残りが再生可能エネルギー。4割にあたる約100件が当初の目標を達成。傾向としては、当初の関係構築を目的としたものから、日本の先端技術の供与や実証事業、合弁会社設立等事業化により近い内容が増えている。
  2. 課題と対応策 目標達成に至らなかった事業の主な理由は、市場環境の変化に起因するものだが、省エネ・環境対策は、経済性だけでは図れない社会的メリットも多く、政府間でも引き続き制度構築や人材育成等の協力を進めたい。
  3. 成功事例から見える未来への道筋
 
  • セメント廃熱を用いた発電用ボイラの製造・販売事業成功要因は、適切なパートナー間で合弁企業を設立したことにより、中国国内の営業力強化し、国内調達の強化やO&Mの強化等コスト削減やサービス強化により競争力を強化したこと。
  • 上海市向け汚泥乾燥・焼却プロジェクト成功要因は、日本の実績・技術ノウハウと中国のプラントをまとめるエンジニアリング力の融合、中国国内製造品の積極採用によるコスト競争力強化。
 
双方が適切なパートナーとお互いの強みを融合させ競争力を高める努力を重ねることが長期的に成功する秘訣と確信。

全体会議 日中企業による協力プロジェクト紹介 発言要旨(発言順)

彭寿 中国建材国際工程集団有限公司董事長

彭寿 中国建材国際工程集団有限公司董事長
  • 中国建材集団は、世界最大の建材メーカー。世界のセメントの10分の1、石膏ボードの3分の1、ガラス生産ラインの半分を供給。
  • 生産原料に年間1億トンの廃棄物を活用、工場での脱硫・脱硝・集塵改造を加速、すべてのガラス・セメント生産ラインで廃熱発電を設置してエネルギー消費量を3分の1削減、CO2排出量995万トンを削減。
  • 日本とは、新日鉄・三菱重工業等と協力、第3回・5回フォーラムでもBIPV技術研究開発、セメント工場向け省エネ設備の研究開発で調印。日本からの設備・技術導入と共同出資の段階を経て、三菱商事とトルコの排熱発電市場の開拓に成功、ガラス分野では旭硝子と組んで省エネ環境サービスを推進、新興国市場参入をめざす。
  • 中国企業代表として、3つの提案。
    1. 省エネ・環境の科学技術創新に係る交流プラットホームを設立し、会社間の新技術と新製品の交流、合作及び共有を強化
    2. 中日省エネ・環境ファンドを有効に利用し、先端技術活用、効果の高い、市場潜在力が巨大な重点プロジェクトに助成資金の支援を提供。
    3. 中日の技術、資源及び市場などの優位性を発揮し、第三国向け市場を共同で開拓、Win-Winの発展を実現。

小久保憲一 株式会社日立製作所執行役常務・中国総代表

小久保憲一 株式会社日立製作所執行役常務・中国総代表
  • 日立は中国において、会社数182社、従業員5万人、売上高年約1兆2,000億日本円、人民元に直すと約600億元で活動。
  • 2006年に社内に中国省エネ・環境事業化推進プロジェクトチームを設置し、07年から国家発展改革委員会の支援のもと、3回にわたり「省エネ・環境保護技術交流会」を開催。
  • フォーラムでは、2007年、雲南省における鉄鋼・化学工業の電機システムの省エネルギー、余熱・余圧利用のモデルプロジェクトでボイラー補機用高圧モータ設備の省エネルギーを目的としたインバータシステムを昆明鋼鉄集団に納入。その後、雲南省化学メーカにも展開、初期測定の段階で省エネ率は平均25.7%を達成。
  • 第3回には、中小企業対外合作協調中心および寧波市人民政府と「中小企業向け省エネ・環境保全協力プロジェクト」の協議書に調印、日立製作所が社内やグループ会社を対象に培ってきた省エネルギー診断のノウハウを提供し、省エネルギー診断を実施。
  • 第5回には、遼寧省大連市発展改革委員会と、資源循環・低炭素経済分野での協業について調印。第6回には大連生態科技創新城管委会および大連科技発展有限公司とのスマートシティ・地域エネルギーマネジメント、第7回には実証実験について調印し、CEMSを導入、2012年には一部地域を対象とした「エネルギーの見える化」を実現。
  • 今回、電力需要側管理システム(DSM)案件に加え、中国製造2025に着目したテーマとしてグリーン製造と『IoT+製造業サービス転換』を、大気汚染対策のテーマとしてVOC対策関連を調印。日立の技術、経験と中国パートナーの実績を掛け合わせ良い成果をあげたい。

全体会議 林幹雄 経済産業大臣 挨拶要旨(発言順)

林幹雄 経済産業大臣
  • 我が国が培った技術やノウハウは中国が重視する資源節約型の「グリーン発展」に資するもの。本フォーラムは、日中の政府及び産業界の互恵的な協力関係構築のプラットフォームとして、重要な役割を果たしてきた。

     

  • 中国経済の構造は変化しつつあり、サービス業や消費のウェイトがより高い、「中高速成長」の経済への転換が図られている。今後は、製造業の省エネ対策に加え、サービス産業や一般家庭を含む幅広い需要家のエネルギー利用の最適化を図るため、IOT(アイオーティー)等の新しい技術を活かした、きめ細かな対策を進めて行くことが重要。

     

  • 日中が協力して取り組むべき課題は多岐にわたる。環境保護及び気候変動対策に資する物品の貿易自由化。対象品目について、できるだけ幅広いものとなる形で、早期に合意が成立するよう両国が協力することが重要。先日の日中韓経済貿易大臣会合の合意に基づき、環境分野での国際標準化機構への国際規格の共同提案などの協力を進めて行きたい。

     

  • COP21では「イノベーション」も大きな課題の一つ。我が国は、2年前から世界の産学官のリーダーが集まって気候変動問題解決のためのイノベーションのあり方について議論する国際会議「イノベーション・フォー・クール・アース・フォーラム(ICEF(アイセフ))」を主宰。日本の取組みを受けて、COP(コップ)21において、官民が参加する公式なイノベーションに関する特別会合が開催される。さらに我が国は来年春までに「エネルギー・環境イノベーション戦略」を策定し、抜本的な排出削減効果が見込まれる革新的技術の特定とその実用化加速に向けて資金や人材を集中投下する方向性を示す予定。本フォーラムも活用しつつ、中国とも連携・協力を進めていきたい。

     

全体会議 丸川珠代 環境大臣 挨拶要旨(発言順)

丸川珠代 環境大臣
  • 環境問題は国境を超えた重要な課題。日本と中国は、日中友好環境保全センターの設立や日中韓三カ国環境大臣会合など、20年以上の長きにわたり環境協力を実施してきた。国家発展改革委員会とは、「日中協力低炭素発展高級研修」を開催。大気汚染問題では、「日中都市間連携協力」を昨年より推進、中国農村部の水質汚染処理改善に向けたモデル事業や共同研究、中国とも連携した東アジア地域の海洋ごみ対策なども実施。来年の日中韓三カ国環境大臣会合は我が国で開催。この大臣会合を通じて、中国と一層の連携・協力を推進したい。

     

  • COP21では二つのことを重視。第一に、「全ての国が参加する公平で実効的な国際枠組み」の採択。第二に、この枠組みを将来にわたって野心を高めていける、実効性のあるものとすること。COP21では、中国とも緊密に連携を図りながら、各国と粘り強く対話し、最終的に合意を得るべく貢献していきたい。

     

  • 我が国は、本年7月に、温室効果ガスを2030年度に2013年度比で26%削減するとの目標を柱とする約束草案を決定し、国連に提出。気候変動による影響への「適応」については我が国として初めて適応計画を取りまとめ、先週の27日に閣議決定。COP21においても、特に途上国に対して、適応計画の策定や取組が進んでいくよう発信するなど、我が国として積極的に貢献していきたい。

     

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