淄博日中大気汚染対策協力モデル区進捗状況
日中経済協会は、2014年9月に協力合意した「山東・淄博日中大気汚染対策協力モデル区」における日中協力案件形成・促進のため、3月1日、2日にわたり山東省淄博市・済南市に出張、淄博市政府、山東省政府と現状と課題、今後の進め方・対応について検討しました。また、フォーラムの中国側主催者である国家発展改革委員会の直属機関で事務局を担当するマクロ経済研究院・対外経済合作辧公室に今回の協議への参加を要請し実現しました。今回の協議の結果を広くお知らせしますので、本モデル区への技術・設備展開についてご関心がございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。
お問い合わせ:
日中経済協会事業開発部 杜本、山本、中島 (03-5511-2514)
メールアドレス:minamo.morimoto@jc-web.or.jp, yuko.yamamoto@jc-web.or.jp, shunsuke.nakajima@jc-web.or.jp
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結果概要
1.当協会より、技術・設備導入の際にライフサイクルコストの視点からの総合的評価を行うべきこと、政府による補助支援策や淄博市の規制・対策状況の情報提供、プロジェクトマッチングの方式改善(重点地域・分野の絞り込み)、既稼働中の日本の設備のある企業を拠点とした普及・横展開活動等について提案。
2.山東省・淄博市とも、本事業が3年目に入る一方、最終的な成約・導入・運転を経て効果確認に至った成功事例がまだなく、期待に比べて進捗が遅れていることへの危機感表明あり。
一方、淄博市では市長をトップに、担当副市長と関係7機関(環境保護局、発展改革委員会、財政局、経済信息化委員会、商務局、科学技術局、外事辧公室)によるプロジェクト推進指導小組が結成されているが、市のトップや主要部局の人事異動、所管変更が相次いだことから、協会より現在の体制を確認。
組長は周連華市長(徐景顔市長は転出)、副組長が李燦玉副市長(劉東軍副市長から交代)と于照春環保局長の二人。実務主管は劉雲龍・環境保護局副局長から呉国棟副局長に交替。事務局は商務局・環境保護局の合同体制を改め、環境保護局に一本化。ただ従来どおり商務局は参画し、小組の全体的な機能は不変。市の大気汚染行動計画は2015年末に山東省環保規劃設計院が落札、モデル区の内容も含め、13次五カ年計画と整合性を取って中長期計画を作成中と説明あり。
山東省政府(環境保護庁、外事僑務辧公室)からは、本事業への支援表明と提案が示され、淄博市側のより主体的な行動を慫慂。また、関係者においては、淄博市を大気汚染対策の実効あるモデルとしつつ、山東省内での普及に力を入れ、ひいては全国への普及に繋げていく考え方が共有された。
3.淄博市より、日本の技術・設備と国産の同等品の価格差が大きく、導入の支障となっていることや、大気汚染対策は待ったなしで、企業にとっては極めて短期間で技術の選定・導入・運転を実現させなければならない状況にある一方で、日本企業との交渉には時間と手間がかかり、更に納期等の条件が中国側の求めているものに追いつかないなどの問題で成約に至らない等、具体的な問題提起があった。一方、山東省環境保護庁トップからは、導入側の中国企業の意識も大きく変化しており、効果が高く安定している技術・設備であれば価格差は導入の障害にはならないこと、中国側でも知的財産権保護に更に務めつつ、淄博側のニーズにマッチする日本の技術、優位性のある解決手段を掘り起こし、「精准対接」(精度の高いマッチング)を行っていきたいとの指摘があった。
4.今後の進め方
(1)精度の高いマッチングの実施
2016年、2017年で省エネ・環保改造をする淄博市の「緑動力」計画に対応可能な日本のシーズ発掘とマッチング実施。(「緑動力」は石炭燃焼の超低排出(特に工業ボイラー)が核心。後で資料を提供)。
緑動力を含む石炭燃焼汚染対策に加え、1000社近い化学工業の生産現場、製品保管場所におけるVOC対策は淄博市にとり最大の課題。
(2)ライフサイクルコストの視点を導入した総合評価の考え方について共同検討
テーマとして省・市および国家発改委マクロ経済研究院外経辧と検討(緑色金融とも関連)
((4)等既存の日本企業のソリューションの導入から運用効果の実績を数値化し、ケーススタディとしてPRすることも)
(3)1〜2の重点案件をサポート・推進
現在進行中の商談案件を推進すると同時に、すでに交流の基礎がありプロジェクトに代表性・モデル性のあるものを選定し、リソースを集中して重点的に推進することに市、省が同意
(4)横展開推進活動のモデル的実施
匯豊石化発電所で稼働が開始した川崎同方のヒートポンプについて、今後専門家が効果を検証し、ここを拠点に横展開を進める活動をモデル的に実施
(5)省市連動メカニズムの強化
山東省政府側としては省トップの理解のもとに立ち上げた山東省・淄博市の「聯動メカニズム」における淄博市の主体的・積極的な行動を期待し、慫慂。問題があればこのルートで提起し、積極的に省の支援を取り付ける。また、山東省側として国家発改委対外経済合作辧公室の本事業への参画を歓迎。
2.山東省・淄博市とも、本事業が3年目に入る一方、最終的な成約・導入・運転を経て効果確認に至った成功事例がまだなく、期待に比べて進捗が遅れていることへの危機感表明あり。
一方、淄博市では市長をトップに、担当副市長と関係7機関(環境保護局、発展改革委員会、財政局、経済信息化委員会、商務局、科学技術局、外事辧公室)によるプロジェクト推進指導小組が結成されているが、市のトップや主要部局の人事異動、所管変更が相次いだことから、協会より現在の体制を確認。
組長は周連華市長(徐景顔市長は転出)、副組長が李燦玉副市長(劉東軍副市長から交代)と于照春環保局長の二人。実務主管は劉雲龍・環境保護局副局長から呉国棟副局長に交替。事務局は商務局・環境保護局の合同体制を改め、環境保護局に一本化。ただ従来どおり商務局は参画し、小組の全体的な機能は不変。市の大気汚染行動計画は2015年末に山東省環保規劃設計院が落札、モデル区の内容も含め、13次五カ年計画と整合性を取って中長期計画を作成中と説明あり。
山東省政府(環境保護庁、外事僑務辧公室)からは、本事業への支援表明と提案が示され、淄博市側のより主体的な行動を慫慂。また、関係者においては、淄博市を大気汚染対策の実効あるモデルとしつつ、山東省内での普及に力を入れ、ひいては全国への普及に繋げていく考え方が共有された。
3.淄博市より、日本の技術・設備と国産の同等品の価格差が大きく、導入の支障となっていることや、大気汚染対策は待ったなしで、企業にとっては極めて短期間で技術の選定・導入・運転を実現させなければならない状況にある一方で、日本企業との交渉には時間と手間がかかり、更に納期等の条件が中国側の求めているものに追いつかないなどの問題で成約に至らない等、具体的な問題提起があった。一方、山東省環境保護庁トップからは、導入側の中国企業の意識も大きく変化しており、効果が高く安定している技術・設備であれば価格差は導入の障害にはならないこと、中国側でも知的財産権保護に更に務めつつ、淄博側のニーズにマッチする日本の技術、優位性のある解決手段を掘り起こし、「精准対接」(精度の高いマッチング)を行っていきたいとの指摘があった。
4.今後の進め方
(1)精度の高いマッチングの実施
2016年、2017年で省エネ・環保改造をする淄博市の「緑動力」計画に対応可能な日本のシーズ発掘とマッチング実施。(「緑動力」は石炭燃焼の超低排出(特に工業ボイラー)が核心。後で資料を提供)。
緑動力を含む石炭燃焼汚染対策に加え、1000社近い化学工業の生産現場、製品保管場所におけるVOC対策は淄博市にとり最大の課題。
(2)ライフサイクルコストの視点を導入した総合評価の考え方について共同検討
テーマとして省・市および国家発改委マクロ経済研究院外経辧と検討(緑色金融とも関連)
((4)等既存の日本企業のソリューションの導入から運用効果の実績を数値化し、ケーススタディとしてPRすることも)
(3)1〜2の重点案件をサポート・推進
現在進行中の商談案件を推進すると同時に、すでに交流の基礎がありプロジェクトに代表性・モデル性のあるものを選定し、リソースを集中して重点的に推進することに市、省が同意
(4)横展開推進活動のモデル的実施
匯豊石化発電所で稼働が開始した川崎同方のヒートポンプについて、今後専門家が効果を検証し、ここを拠点に横展開を進める活動をモデル的に実施
(5)省市連動メカニズムの強化
山東省政府側としては省トップの理解のもとに立ち上げた山東省・淄博市の「聯動メカニズム」における淄博市の主体的・積極的な行動を期待し、慫慂。問題があればこのルートで提起し、積極的に省の支援を取り付ける。また、山東省側として国家発改委対外経済合作辧公室の本事業への参画を歓迎。
5.今後
淄博市・山東省とも大気汚染対策行動計画の実施・進展の中で、日中によるモデル事業の案件形成・進捗に危機感あり。同時に推進態勢の再確認、関係者間での情報と認識共有を行うとともに、国家発改委対外経済合作辧公室の参画も得つつ、淄博側のニーズと日本側のシーズの精度の高いマッチングを行うことを確認。年内に想定されている第10回日中省エネルギー・環境総合フォーラムも念頭に置きながら、今後スピード感を持って対話・活動を行うことを確認した。
淄博市・山東省とも大気汚染対策行動計画の実施・進展の中で、日中によるモデル事業の案件形成・進捗に危機感あり。同時に推進態勢の再確認、関係者間での情報と認識共有を行うとともに、国家発改委対外経済合作辧公室の参画も得つつ、淄博側のニーズと日本側のシーズの精度の高いマッチングを行うことを確認。年内に想定されている第10回日中省エネルギー・環境総合フォーラムも念頭に置きながら、今後スピード感を持って対話・活動を行うことを確認した。
これまでの経緯
1.「日中大気汚染対策協力モデル区」は、大気汚染改善協力ネットワークの活動に山東省政府が呼応し、淄博市をモデル区として日本の知見・技術導入による同市の大気汚染改善をめざし、2014年9月に日中経済協会と淄博市が協力覚書を締結。(第8回日中省エネルギー・環境総合フォーラムの調印案件)
2.山東省政府は本枠組みを対日協力の重点とし、淄博市政府は副市長をヘッドとする指導小組を設置して推進体制を構築。担当副市長が2回政府・企業関係者を率いて訪日するなど、1年余にわたりプロジェクト形成支援として専門家による知見の提供、企業訪日団を中心としたマッチング交流、個別サポートを実施中。
3.第9回フォーラムでの調印案件は1件(山東アルミと古河産機システムズ・富士電機のフィルター式電気集塵機の協業合意)。