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第10回(2016年・北京)【分科会】

都市緑色管理(スマートシティ)分科会

 本分科会は、2015年11月に日本・東京で開催された第9回フォーラムからスタートした。
 初回は、日本のスマートコミュニティ、スマートシティの先進事例(横浜、北九州、柏の葉)と具体的な取組みなどに関する紹介が行われたが、今回は、スマートシティの国際標準化をも念頭に、資源節約・環境配慮型の都市開発・運営等の日中のビジネス交流・協力に向けて、中国での先進事例や取組み等の紹介を受けるとともに、双方のコンセプト、政策、技術ソリューションやファイナンススキームについての相互理解を深め、最適かつ実行可能な方向性を共に探究することが双方の関心事項となった。
 先ず、中国側からはスマートシティ整備に取組むべき問題意識の説明が行われ、これに対して日本側からは、大気汚染を含む社会課題の解決に対応するスマートシティ・インフラの国際標準化推進に協力して取組んでいる重要性の提起がなされた。
 続いて中国側から、大気汚染課題解決に実績を挙げつつある山東省淄博市(2014年の当協会との覚書・モデル区協力が奏効)、クリーナープロダクション等を加速する浙江省諸暨市の取組みが紹介され、日本側からは都市のグリーン発展に重要なZEB技術につき、コスト回収の考え方を含めて説明し、近い将来のZEB技術の日中ビジネス展開に向けた日中双方の関心を喚起する試みが行われた。
 最後に、これら取組みを支えるファイナンスにつき、中国側からはグリーンファイナンスのガイドラインなど、日本側からはJBICの代表的なスキームなどが紹介され、昨年に続き、今後の日中ビジネス協力による都市のグリーン発展の実現への一層の基礎が築かれた。
 今後の課題は、このような基礎のうえで、双方の関心事項をより具体的に摺り合せることである。それができれば、ビジネス成果に繋がっていくものと期待される。
 

次第・講演資料

次第

( 75KB)

都市の発展方式を転換し緑色低炭素の道を進む

スマートシティの国際標準化

諸暨市の都市緑色管理の経験と取組み

日本のZEB(net Zero Energy Building)技術展開

実務協力推進による生態淄博の建設——中日大気汚染防止総合モデル区の創成

中国における先進的なZEBの事例紹介

グリーンファイナンスによるグリーンシティの発展

JBICの都市インフラ整備と環境分野における取組~中国向け業務概要~

省エネサービス産業分科会

 日中両国のエネルギー政策において、省エネは最も重要な課題の一つである。中国政府は、省エネによるエネルギー効率の向上が、新たなエネルギー開発よりも低コストで、環境にやさしくクリーンな手段であると認識している。そして、省エネサービス産業は、日本がそうであるように、省エネを効果的・効率的に進めるために不可欠な要素だと位置づけられている。

 中国側は、中国のエネルギー情勢の変動と省エネ政策の在り方に関する分析、省エネサービスの類型及び関連する企業・政策・プロジェクトの動向を提示したほか、具体的事例として省エネアウトソーシングサービス、石炭とバイオガスの混焼技術について、それぞれの技術と効果を紹介した。また、同産業の育成・発展に向け、資金関連政策の整備、公平な市場競争環境の構築に加え、各種サービスモデルの展開を急ぎたい考えで、日本企業との協力に大きな期待を寄せた。
 日本側は、省エネサービス産業の社会的意識向上に資する省エネ大賞という表彰制度を解説したほか、ESCO事業や建築BEMS市場における省エネソリューションの特徴・事例、省エネ効果の高いCO2冷媒を用いたヒートポンプ製品・技術を紹介した。
 今回、双方向での交流により知見と技術の共有が進み、省エネサービス産業における協力関係を一層深めるための大きな潜在力を確認することができた。具体的なビジネス展開に向け、今後とも本フォーラム等を通じて連携して取り組んでいくことに合意した。

次第・講演資料

次第

( 136KB)

経済の新常態下における中国のエネルギー消費と省エネルギー情勢

省エネ大賞制度の特長と優秀事例について

中国の省エネルギーサービス産業発展の現状と主な推進事業

中国における省エネルギー環境サービス

省エネ給湯から総合的な機械設備省エネまでのアウトソーシングサービスの拡張

アズビルの業務と業績紹介及び提案事例

発電所における化石エネルギー消費の低減と再生可能エネルギーの利用拡大

サンデングループの紹介と中国における市場参入について

循環経済分科会

循環経済分科会では日中合計125名が出席し、日本側からは経済産業省リサイクル推進課、自動車課及び民間リサイクル企業、中国側からは国家発展改革委員会循環経済処、民間リサイクル企業による発表が行われた。

 政策セッションにおいて中国側陸処長は「従来の大量生産、大量消費、大量廃棄の経済モデルから、3R政策に基づいた資源循環型経済社会への転換は、日中経済の持続的な発展に必要であり、その構築には日中両国の継続的な協力が不可欠である」と発言し、楊主任が“十三五”計画に基づいた中国のリサイクル政策と、中国の循環経済に対する認識と位置付けについて発表した。日本側の髙角課長は「資源の有効利用は環境、気候、惑星の保護に不可欠となる、世界共通の重要課題であり、単なる環境経済、環境対策ではなく、経済成長へ発展させる視点が必要」と発言し、髙角課長及び保坂課長により日本のリサイクル関連法の概要及び経緯、法制度の整備等についての発表を行った。

 事業セッションでは日中各民間企業代表による自動車、電池、包装、食品等各リサイクル分野の事業概要紹介の後、各業界における循環経済の現状、取組み及び今後の展望についての発表が行われた。

 今次分科会を通し、絶えず変化し続ける日中を取り巻く環境の中で、日中両国がお互いのニーズと強みを正しく認識し、理想的な循環経済社会の構築に向けて引き続き協力を進める必要性を再認識すると共に、各リサイクル分野における双方の新たな協力方法を模索する方向性を確認した。

次第・講演資料

次第

( 70KB)

日本国政府の資源循環政策の現状と今後の展開

中国の資源循環利用政策

日本の自動車リサイクル制度の現状

日本のリサイクル部品ビジネスと中国解体事業の展望(自動車リサイクル)

我が国の自動車回収解体業界の現状と展望(自動車リサイクル)

中国リサイクル部品流通におけるブロードリーフの取り組み紹介

中国での電池リサイクル利用における技術と産業実践

資源循環社会と共生した低炭素地域づくり「食品廃棄物の地域循環圏形成」

中国包装物回収方法の現状と展望(包装物リサイクル)

新エネルギー車・自動車知能化分科会

 今年は、新エネルギー車の発展と運営・自動車の知能化についての研究・開発をテーマに、日中共同研究に踏まえて、日中双方合計124名の出席で発表が行われた。
 2014年の暮れに日中双方が調印した「日中新エネ車と充電インフラ共同研究に係る覚書」は、今年で終了した。日本自動車研究所(JARI)と中国自動車技術研究センター(CATARC)を中心とした共同研究の成果は、日中両国の充電インフラ整備の現状、運営モデル調査とビジネスモデルの実例分析を通じて、適合するビジネスモデルと政策提案が出され、また、EVと充電器の互換性研究においては、互換性確認共同試験のデータに基づき、中国の充電標準意見募集稿の検討会の資料として提出された。
 一方、中国自動車工程学会より「新エネルギー自動車及び智能自動車技術発展ロードマップ概要」のプレゼンテーションが注目された。500名の専門家、16社の主要完成車生産メーカーと部品メーカーが参加したほか、エネルギー、情報、材料及び研究機関なども参画して、全体と項目別(1+7)で構成のロードマップが10月26日に発表された。2030年までの各段階に設定された目標は、表の通り:
 
  2020年 2025年 2030年
省エネ車
・乗用車新車の平均燃費は5L /100Km
・商用車の燃費は国際水準に近づく
 
・乗用車新車の平均燃費は4L /100Km
・商用車の燃費は国際水準に付く
 
・乗用車新車の平均燃費は3.2L /100Km
・商用車の燃費は国際トップレベルに
 
新エネ車 販売量の7%以上 販売量の15%以上 販売量の40%以上
次世代車 運転補助/部分自動運転車両の市場占有率約50%に 高度自動運転車両の市場占有率15%に 完全自動運転車両の市場占有率10%に近づく
 
 日本側は、経済産業省製造産業局自動車課より、日本の次世代自動車の振興施策、超高速充電に関する日中間の情報交換に関する提案を行った。
 日本を代表する自動車メーカー日産自動車とトヨタ自動車の代表はそれぞれ各自次世代自動車と自動運転技術の研究テーマ及び目標、開発・実証の状況を紹介し、中国における自動車のスマート化取組に積極的参加の意向を表明した。
 当分科会を通じて、日中両国の新エネ車・知能化自動車の共同研究・開発における協力、協働が欠かせないことは再確認ができ、日本側から超高速充電技術の実証試験(来年3月)への参加を打診したのに対し、中国側コーディネーターが即座に歓迎のコメントをする場面あり、今後、更なる連携の道を広く敷かれた。

次第・講演資料

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( 70KB)

中国新エネルギー車産業発展の全体状況

日本の次世代自動車振興施策

日中新エネ自動車と充電インフラ共同研究成果報告

EV 車充電インフラの快速発展を促進する

超高速充電に関する日中間の情報交換に関する提案

新エネルギー車・ICV 技術ロードマップの概要

日産自動車の自動走行技術

FCV の開発とサステイナブルモビリティに向けて

クリーンコール技術・石炭火力発電分科会

 日本も中国も共に火力発電は電源構成の過半を占める重要な電源であり、今後も増加する電力需要を安定的かつ効率的に満たすためには引き続き石炭火力発電を活用していくことが不可欠である。他方、昨年のCOP21におけるパリ協定の採択など、火力発電全体の低炭素化の推進は日本、中国を問わず共通の重要課題となっている。
 そうした中、本分科会では、日本側は、効率的な発電を行うため電力会社が実施している需給調整の概要について、火力発電を中心に再生可能エネルギーをも視野に入れつつ、昨今の環境変化を踏まえた実例紹介を行った。また排出削減を推し進める上で排出物を正確に計測することが重要となるが、NOx、SO2をはじめとする排出物の計測について、様々な状況における計測の仕方についての紹介を行った。併せて中国山東省鄒県で実施した高性能排煙浄化システム改造の概要についても紹介した。
 中国側は、火力発電におけるピーク調整についてボイラーや燃焼技術の改善などそのソリューションについての紹介がなされた。また欧米が石炭からガスへの転換を推し進め、大気汚染対策としていることに比して、中国ではガスへの転換が難しく、石炭の超低排出技術改造を行い対応していること、また省エネでも超臨界レベルに向けた改造を行っていることについての報告がなされた。
 本分科会を通じて、日中双方が互いに当該分野における概況や技術について情報交換し、相互の理解を深め交流することが出来たことは、今後の日中双方が火力発電分野での低炭素化を推し進める上で大いに参考となるものである。特に中国の石炭火力発電におけるピーク調整改造推進は非常に大きなプロジェクトであり、プロジェクト技術と研究開発の双方において国際協力を強化する方針であるところから、日本としてもそこにビジネスでのWin-Winの可能性があるのではないかと思われた。

次第・講演資料

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( 65KB)

火力発電に関わる技術ロードマップについて

中国石炭発電発展状況

クリーンコールテクノロジーのビジネスベースの協力

国電集団による火力発電所柔軟性改造事例

需給運用面からみた石炭火力の役割変化

浙能集団による省エネルギーレベルアップ改造事例

火力発電における管理レベルの向上(計測分析)

(事例紹介)山東省鄒県発電所でのAQCSによる改造事例

日中長期貿易分科会

 日本側・日中長期貿易協議委員会 省エネ等技術交流促進部会と中国側・中日長期貿易協議委員会 省エネ環境保護技術合作分会(商務部対外貿易司)は、省エネ・環境ビジネス支援・促進の為の対話の場として、第1回日中省エネルギー・環境総合フォーラム(2006年)以来、同フォーラムにおける分科会の形で毎回定期交流を行っている。
 従来、本分科会では「汚水・汚泥処理」及び「自動車リサイクル」を重点テーマとして取り上げて交流を重ねてきた。世界の多くの地域では水需給の逼迫や水汚染の問題を抱えており、高い経済成長を続ける中国でも大変深刻な状況になっている。その為中国は水資源問題の改善に向けて、水資源分布の緩和や水利用効率の向上のほか、海水の効果的な利用と代替を推進している。
 中国節水13次五カ年計画策定の今年、本分科会では商務部対外貿易司の承認のもと、国家発展改革委員会節水処から提案のあった節水・海水淡水化をテーマに取り入れ、水循環の川上から、汚水・汚泥処理、無害化などの川下分野まで一貫した水循環システムにおける日中協力の可能性について交流を図ることになった。日本側は各社から水関係の膜製品やソリューションビジネスを紹介し、中国側からは海水淡水化案件や水リサイクル、下水道事業案件への関心や中国の状況が表明され、こうした日中の協力案件を模索していくことになった。
 また、分科会終了後には団城湖調節池(南水北調関連施設)と北京第九浄水場を訪問し、視察活動を行った。

次第・講演資料

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( 87KB)

日本が推進する水ビジネス

中国における“Team E-Kansai”の取組について

海水淡水化の総合利用技術の研究開発状況と展望

高速海底浸透取水システム-HiSIS

PPP政策の解読及び水環境分野における応用

東レGの水処理事業及び中国での取り組み

北控水務グループの海水淡水化事業及び中国海水淡水化市場の展望

ポアフロン® PTFE中空糸膜を用いた水処理について

排水リサイクル及び海水淡水化におけるMF/UF膜の適用とその事例紹介

汚泥炭化技術応用の将来と展望

鉱山の重金属汚染土壌及び排水処理薬剤選択と施工方法

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