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R4年度 第1回JC-BASE産官懇話会

第1回JC-BASE産官懇話会

主旨

 新型コロナウイルス感染症の影響により、日中間の人的往来が今なお制限される状況下で、省エネ・環境分野における日中協力の現状、ニーズ、課題などを把握し、日中省エネルギー・環境総合フォーラムを含む省エネ事業において新たなニーズやアプローチの可能性を探るべく、日本企業同士で情報交換や意見交換を行う場を設定しました。
 
 第1回となる今回は、まずは忌憚のない意見交換や情報交換の場という目的から、各社中国事業の担当責任者の方にご参集いただき、クローズド形式で実施しました。具体的には、ここ数回の日中省エネルギー・環境総合フォーラムにおいて、新規協力プロジェクトを披露いただいたり、分科会にてご発言いただいたりした日本企業にお声がけ致しました。

概要

■日時:5月25日(水)14:00~16:00
■場所:日中経済協会 会議室(対面形式)
■参加:省エネ・環境分野の日本企業8社、資源エネルギー庁、日中経済協会(JC-BASE事務局)
※制御、機器、プラントなどのメーカー及び商社の省エネ・環境事業担当部門

ポイント:懇話会での象徴的なご意見

<日中間に存在する根本的な違い>
  • 日本ではランニングコストを含めて中長期的に事業計画を策定する一方、中国ではまず大規模なインフラ投資を行う傾向があるが、その先に明確なプランがないことも多い。
  • 中国の変化が速い。石炭を使用する大型設備が7割を占める状況が、わずか数年のうちに天然ガスを使用する設備が7割に切り替わった。現在は新型コロナウイルス感染症の影響で各種往来が制限されているが、いざ元に戻ると、物事が一気に動き出すのではないかと感じている。
  • 日本では実証事業に対する支援枠組みがあるが、中国では「実証が成功した暁には」補助金を申請できる仕組みが多い。

<対中ビジネスにおける課題やニーズ>
  • 昨今多く聞かれる「省エネ・環境」や「カーボンニュートラル」は対象範囲が広く、具体的にその中のどの分野や技術に中国側のニーズや日本の製品や技術が持つ優位性があるのかが必ずしも明確でない。
  • 現地パートナーの重要性
(例)中国側カウンターパートのトップが技術面に明るく、事業の推進にあたり技術面の課題なども忌憚なく意見交換でき、スムーズに進めることができた。
(例)中国側カウンターパートのトップが構想レベルでは「ぜひやろう」という雰囲気だったが、いざ実務レベルで話をするとかみ合わないことや、中国側の別の人物が異なる考えを持っており、その人物のところで意思決定などが止まっていたこともあった。
 
<中国における「水素」の位置づけについて>※日中省エネ分野でホットなテーマ
  • 中国はダブルカーボン目標のもとで石油+天然ガス、さらにダイバーシティとして水素エネルギーをメインに取り組んでいると思われるが、実際にはクリーンコール(石炭のクリーンで高効率な利用)が主流。自国のエネルギー源として、多様な選択肢を持っておきたい中で、水素はあくまでそのひとつなのではないか。
  • 中国では石炭火力が主流である一方、世界の主要国が石炭からの脱却を進めている潮流も無視できないと思う。その潮流に合わせるために、水素をベースロード電源とすべく取り組んでいるのではないか。そこで、まずはブルー水素、いずれはグリーン水素をメインにしていきたいという思惑があり、その中で日本の技術が必要だと言っているのではないか。
  • 中国における水素の利活用は沿海部と内陸部の経済格差を埋める起爆剤だという位置づけもあるのではないか。
産業(商材)が沿海部ほど豊富でない内陸部で、例えば今まで廃棄していた副生水素が商材になれば地方経済が潤う、より大きな循環に繋がる。

懇話会で見えた現状と今度に向けて

 一口に「省エネ・環境分野」と言っても、分野、業界、さらには企業ごとに対中ビジネスの現状のとらえ方が様々であった。その中で、省エネ(新エネ)分野における新たな領域については、中国側の日本企業に対するニーズや期待感が、日本企業の目線で見ると明確に示されていない課題が多く、中国がダブルカーボン目標実現に向けて「今後、中国は具体的にどの方向に進んでいくのか、日本はどういうところにコミットできるのかをもっと知りたい」という率直な意見が出された。
 
 さらに、今回挙がった課題やニーズに対して、「これらは省エネ・環境分野に限らず、対中ビジネス全般で共通するものではないか、今後は、こうした分野特有の現状、課題、ニーズなどを明らかにするとより有益なのでは」との指摘もあった。水素などの分野では「日中双方のビジネス環境が十分に整備されていないケースも多く、企業、政治、法律・法規など様々な要素を考慮し、バランスを取りながら中国とどのような協力が期待できるかを考える必要がある」という発言も聞かれた。
 
 今後、日中経済協会/日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会(JC-BASE)としては、現状、課題、ニーズが十分に整理されていない分野にテーマを絞り、日本企業がより深みのある意見交換や情報収集を行うことができる場を設置していきたい。

交流の様子

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