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国家環保技術管理評価工程技術中心訪日団

国家環境保護技術管理・評価工程技術中心訪日考察団を受け入れ

【調査速報】

国家環境保護技術管理・評価工程技術中心訪日考察団を受け入れ

■ 受入概要

日中経済協会は、2012年2月12日(日)から18日(土)までの7日間、王凱軍清華大学環境学院教授を団長とする「国家環境保護技術管理・評価工程技術中心考察団」6名の訪日を受け入れました。

同中心は環境保護部が清華大学に設置した環境管理制度構築に係わる機関で、目下、農村部の生活排水処理、畜産排泄物・廃棄物処理、生ごみ処理等の環境対策に関する技術選定・基準制定の役割を担っています。

本団は、関心事である日本の農村集落排水処理・浄化槽システム、都市汚泥処理技術、生ごみ・汚泥混合消化施設等の関係自治体(長岡市、小諸市、東京都等)や企業(ニッコー、バイオエナジー)の関連施設を見学したほか、経済産業省や環境省等の官庁訪問、「中国水ビジネスセミナー」開催、「国際水ソリューション展 InterAqua2012」出展など、広範な活動を展開しました。
■ 名簿
  王 凱軍国家環境保護技術管理・評価工程技術中心主任
清華大学環境学院教授
 中国バイオガス学会副理事長
 中国環境保護産業協会水汚染防除委員会主任
  張 鴻涛北京国環清華環境工程設計研究院有限公司総工程師
  李  俊北京国環清華環境工程設計研究院有限公司工程師
  高 志永清華大学環境学院助理研究員
  楊  喬中国環境科学学会環境損害鑑定中心工程師、プロジェクト主管
  王 志立北京中持グリーンエネルギー環境技術有限公司副総経理
■ 日程 
 2月12日(日) 北京→東京
 東京→長岡
 2月13日(月) 長岡市役所説明 (山崎和夫副市長表敬)
 岡南北部浄化センター 視察
 中越流泥処理センター 視察
 長岡中央浄化センター 視察
 寿クリーンセンター 視察
 長岡→東京
 2月14日(火) 日中経済協会 訪問
 中国水ビジネスセミナー 開催
 2月15日(水) InterAqua2012~第3回国際水ソリューション展~ 出展
 2月16日(木) ニッコー株式会社埼玉工場 視察
 戸建て浄化槽現場、施設 視察
 2月17日(金) バイオエナジー株式会社城南島工場 視察
 2月18日(土) 成田→北京
■ 結果概要
 
(1) 中国水ビジネスセミナー~多様化する市場と日中合作の可能性~開催
 
中国の汚水処理、汚泥処理市場の現状と展望、日本企業のビジネスチャンスと可能性について理解を深め、ビジネス展開の契機とすることを目的とするセミナーを開催。日本側からは水ビジネス関係者を中心に約150名が出席。
 
(中国側講演)
  • 中国の環境管理制度の動向~12−5計画における規制のポイントと新市場(王凱軍団長)
  • 中国水務市場の新動向〜日本企業のアドバンテージを活かすには?(張鴻濤団員)
  • 中国民営企業の水ビジネス市場開拓の新動向~日中アライアンスの可能性(王志立団員)
  • 汚泥プロセス減量活性汚泥法下水処理技術について~進民水務のチャレンジ(李峰山東省臨沂進民水務有限公司総経理※別団)
  • 中国環境科学学会と中国ETVの紹介(楊喬団員)」

上記全講演のPowerPointスライドはこちらです。

(左)ビジネスマッチングの様子、(右)本訪日団もパネルブースを出展
(2) InterAqua2012~第3回国際水ソリューション展~出展
 
InterAqua は、展示会がR&Dと技術ソリューションの性格を強める一方、水ビジネスのグローバル展開や日本の優れた水処理キーテクノロジーなど戦略性の高いテーマの国際会議からワークショップまで同時開催の会議系イベントが重要性を増しつつあり、展示会と会議系イベントが車の両輪のような役割を果たしている。
 
本団一行は、上記水ビジネスセミナー出席者との有機的な交流や本邦水ビジネス業界へのPRを目的に、日中経済協会と共に展示ブースを出展した。 
(左)ビジネスマッチングの様子、(右)本訪日団もパネルブースを出展
(3) 現場視察
 
一行は、全体を通じて、個別技術よりも実際の運営・維持管理等、支えるメカニズムに関心。具体的分野は、農村生活汚染対策(日本の農村集落排水処理・浄化槽システムの設計標準、普及モデル、関連サービス体系)、都市汚泥処理技術(企業視察等を通じ潜在的技術についての合作検討)、生ごみ・汚泥混合消化施設など。これらテーマはいずれも第12次五カ年計画の重点分野であり、一行はこれから関連ガイドライン等を提案する立場にあることから、日本の技術やシステム・制度を理解し、策定に反映されるようにするとともに、企業との直接交流により、具体的プロジェクト創成を目的に各所を視察した。 
(左)山崎副市長表敬、(右)岡南北部浄化センター視察。
(左)中越流泥処理センター視察、(右)長岡中央浄化センター視察。
寿クリーンセンター視察。
(左)経済産業省表敬、(右)環境省表敬。
(左)ニッコー株式会社埼玉工場視察、(右)戸建て浄化槽現場着、施設見学。
浅麓汚泥再生処理センター視察。
左)株式会社城南島工場視察、(右)有明水再生センター訪問。
(4) 総括
 
本訪日団の総括として、中国の水処理・汚泥処理分野において、今後日本が有望な技術や領域は以下の通り。
 
  • 水処理膜:日本企業の優位性は明確。具体的には、平膜や、セラミック膜、海水淡水化用の中空糸RO膜など。これらは中国ではまだ真に展開されていない。今後モデル事業や合作が必要。従来の膜についても、小型の設備用など、他にない特色を持つ膜、今中国で解決できていないものを解決するための膜は有望。
  • 汚泥処理:日本の一般的な技術はだいたい中国でも紹介が済んでいるが、セメントと一緒にするなど、建材への利用が進んでいるのが日本の特色。他国はほとんど焼却のみ。制度と関係するので、それを含んだシステムは有望か。炭化は、成熟した、応用の段階にあるのは日本だけである。なお、中国において、汚泥処理の技術の方向性はまだ決まっていない。中央部門や専門家でも意見が異なる。住宅・農村建設部は堆肥化、農地還元が主流。研究者はメタン発酵、環境保護部はさらに違う。実際の市場は待っていられないので、高度乾燥脱水やごみとの混合焼却、または40~50%まで脱水して処置(埋立など)がすでに方向性になりつつあるのが現実。大都市では焼却に走っている。 焼却は欧米と競合するが、建材利用や炭化が日本の特色、優位性。欧米と異なるところをPRするべき。
  • 浄化槽:関心高い。ポイントは設備や技術でなく、システムを紹介することにある。制度(メンテナンス、サービス、基準)のモデル事業を行うと良い。農業部は農家のエネルギー回収利用事業で、メタン発酵槽のメンテナンスサービスを各県レベルにまで普及させた。浄化槽でも同じことができるはず。村レベルは環境保護部が所管している。また、設備だけ持っていくようなことでは普及は絶対にできないことを認識するべき。
  • 第12次五カ年計画はまだ始まっていない。今年が本当の開始。むしろチャンスは今年度にある。
  • 水処理・汚泥処理以外の分野:生ごみのメタン発酵、大規模なバイオマスタウン、下水道革新的実証事業など総合的な循環システムは有望。
■ 本件お問い合わせ
日中経済協会 山本・澤津 Tel: 03-5511-2514 
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