【表敬報告】煙台市投資促進中心一行
姚建軍副主任からの紹介内容
- コロナで経済の影響を受ける中でも、近年は日中経済協会とも連携を深め、一昨年は煙台で「中日スマート製造・デジタル技術発展フォーラム」、また煙台と東京の2会場をオンラインで結んでバイオ医薬について議論する「2022煙台市(東京)投資環境セミナー」を成功裏に開催。
- 煙台市は、面積1.38万km2、人口700万人。昨年、GRPは9,561億元(前年同期比+5.1%)。コロナ禍により経済的影響を受けつつも、山東省内の中では好調の部類。輸出入総額は4,547億元(+10.5%)、対日輸出入総額46億ドル。外資利用額は29.8億ドル(+10.6%)。これらのデータから、貿易の海外依存度が高さや、対外ビジネスの活発さが、煙台経済に寄与していることがうかがえる。
- 煙台は工業成長期と位置付けられ、製造業が支柱。すなわち、石油精製、ハイテク装置、黄金加工、自動車、食品、バイオ医薬など。特に黄金の生産では国内の第1位。食品加工産業も盛んで、中国のワインの3本に1本は煙台産ワインというほど、ワイナリーも多い。
- 煙台における自動車メーカー大手といえば、GM/上海汽車の合併。自動車生産台数のピークとして年産60万台という実績もある。現下の中国は、ガソリン自動車産業からEVへ転換する流れであるが、煙台市政府としてもこのトレンドに乗りつつ、GM/上海汽車に、年間60万台のEVを生産してもらいたいと画策中。中国は国を挙げてEV産業へのサポート政策を検討するなか、煙台市としても、EVに関する投資環境整備に注力したい。
- 現在、中国は水素自動車の開発に注力しているが、その産業化や量産化にはまだまだ時間がかかりそう。そこで、中国政府は、長江デルタ、珠江デルタ、環渤海湾の3エリアを即ち水素車の実験モデル区に指定。煙台市も支持をもらっている。今年度中に必ず5カ所の水素ステーション、200台の水素車を生産するプロジェクトを実施することを決断(200台の内訳には、物流関係や清掃車が含まれる)。
- 習近平政権は、2030ダブルカーボン目標(30年カーボンピークアウト、60年カーボンニュートラル)を打ち出しているが、煙台市も山東代表として全国の脱炭素化の先頭を走っている。例えば、原子力、風力、太陽光などのグリーンエネルギーのインフラ整備は全体発電設備の半分という実績。
- 煙台市の製造業は青島市とほぼ同規模ながら、製造業は青島よりやや高収益だと自負。かつては電力供給不足で停電もあったが、2019年からの発電インフラ整備により、電力過剰供給にすらなっている。
- 煙台にはEU向けの機械装置製造プロジェクトなどがあるが、EUの政策では炭素税を徴収する方向。EU向けのインフラ輸出を生かせば、税金の一部も免税できると考えており、相互メリットにつながると考えている。
- 煙台市政府は、優位性を引き出し、過剰なエネルギー供給を電解水素として利活用できるかを検討中。その技術的解決のため、産業の英知を結集して、日本の商社や国家電力投資らと協力している。まだ産業化までには時間がかかるが、自信を持って前に進みたい。
- もう1つ、化学業界でも大手の万華の力を借りながらいろんな面での産業拡大を目指している。独BASF社は、競争相手の研究のために万華研究所を作った。万華は事業拡大とともにその規模に満足せず、もう1つ新たなの産業団地の建設を見据えている。
- また煙台市内の県級市である龍口市ではLNGの開発に注力するため、35㎞2というプロジェクト規模では随一の工業団地を有する。石油精製は全業界の川上から川下まで関与していくので、いろんな企業が合作を希望している。仏・エア・リキード社は煙台に水素タンクプロジェクトを立ち上げた。LNG、石油精製によって発生する副生水素に関し、中国でのビジネス化を目論む。
- 煙台は、バイオ製薬にも優位性がある。今年中に市内にバイオ産業園を建設予定。海外からのビジネス誘致を進めている。日本からの合作意向や現地視察を歓迎したい。
- 煙台は、地理的にも海を隔てて日本に近い。今年はイベントや展示会を多数企画している。4~6月:カーボンニュートラル会議、6月:国際食品展示会、7~8月:医薬のイノベーション発展フォーラム、8月:石油関係、10月:果物・農産品などのイベント実施が年間事業計画に盛り込まれている。
- 本日は、長時間の説明となったが、コロナ後初の海外出張ということでご容赦いただきたい。煙台から日本の5都市への国際直行便の早期再開が待たれる。今後も日本経済界とコミュニケーションを深め、投資誘致につなげたい。
- 詳しい資料は「烟台市重点产业链基本概况(※中国語のみ)」や動画「煙台の約束(※日本語字幕)」まとめているので、是非ご一覧いただきたい。
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