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【参加報告】中国啓東経済貿易合作交流会

はじめに

2023年3月1日、中国・啓東市より王春華副市長一行6名が訪日し、都内で「中国啓東(東京)経済貿易合作交流会」を開催しました。日本江蘇総商会・王述設会長からの招きにより、日中経済協会からも業務部が参加しました。
 
啓東は江蘇省南通市に所属し、これからの発展が見込まれる県級市ですが、上海浦東から直線距離でわずか50kmという「地の利」が最大の特長であり、上海浦東からわずか20分で結ばれる高速鉄道がつい先日着工、また、虹橋・浦東に次ぐ第3の空港の年内建設開始が計画されているなど、インフラ建設が目覚ましく進んでいる都市です。
 
王春華副市長の説明によれば、啓東には現在38社の日本企業が進出しているということですが、本交流会に出席していた関係者によれば、5年前時点で市内に居住する日本人駐在員は9名(うち1社から7名)だということですが、メガシティ・上海に隣接する地の利とも相俟って、これから日系企業の注目がますます高まる潜在力が感じられました。
 
また、日本江蘇総商会や、「株式会社プロテリアル(旧日立金属)」や「日本ルツボ株式会社」などの代表的進出企業も、啓東におけるビジネス優位性を紹介しました。
 
交流会への出席を通して一番印象的だったのは、進出企業をサポートする市商務局の幹部と、啓東進出日本企業が、大変親密かつ良好な関係にあることでした。
 
以下に、王春華副市長からの挨拶と、商務局・姚賽花局長からの進出誘致プロモーションの内容をごく簡単ではありますが紹介いたします。日本企業による啓東訪問・視察を歓迎するということです。
 
Keywords: 上海隣接臨海エリア、上海第3の空港、浦東から20分の高鉄建設中

王春華副市長 開会挨拶

  • 45年前、中日両国は「中日平和友好条約」を締結し、経済、文化、科学技術の各方面における交流と協力の基礎を築き、啓東と日本の交流と協力はこの東風に乗って徐々に深化。
  • 啓東には、株式会社プロテリアルを代表格に、38社の日本企業が進出し、港湾産業、戦略的新興産業、特殊産業を中心とする現代産業システムを構築。
  • 啓東の2022年末GRPは1,391.14億元に達し、工業とサービスの課税売上高は毎年2桁の伸びを示し、ハイテク企業の数は倍増し、国家対外貿易転換・高度化の拠点に選ばれている。中国の県級行政区(除:地級市内行政区)1,800以上の中で、総合力23位、技術イノベーションレベル10位、投資潜在力10位、グリーン発展レベル13位、都市化レベル18位にランクイン。
  • 啓東の未来は、長江デルタ一体化や長江経済ベルトといった国家戦略の重なりにより、飛躍的な発展へと踏み出そうとしている。これは、「滬」と「海」の2つの文字で表すことができる。
  • 「滬」は上海の略称であり、昨年9月「上海都市圏空間協同計画」が発表されて以来、啓東は長年進めてきた「上海とつながる(接軌上海)」戦略を高い次元で実現。東京に喩えれば、半径80km圏内に神奈川県、千葉県、埼玉県などの人口密度や経済力の高い都市が環状に取り巻くように、同じ視点で上海に目を移すと、同じ半径内に中国最強の県級市である昆山や上海臨港新エリアが所在している。啓東は、この圏内で成長していくこととなる。重慶を始発に啓東を経由し、上海を終点とする「北沿江高速鉄道」の建設が着工し、啓東から上海を貫く道路鉄道共用橋の工事が2週間前に施工に入ったことで、啓東から上海までの距離は20分に短縮される。同時に、上海空港集団は、啓東の中心部から西に30km離れた場所に、虹橋、浦東に次ぐ第3の4Fクラスの空港建設が今年11月に正式に着工予定であり、中長期の計画旅客量は9000万人・回を想定。交通パターンの更なる拡大により、啓東は上海との産業補完、開放的交流、要素融合が進み、上海都市圏での認知度や競争力が向上するだろう。
  • 「海」とは、臨海の利を活かした「海を向いた発展(向海発展)」戦略を指す。啓東には中国六大漁港の一つである呂四漁港が所在し、年間漁獲量は30万トンに達する。100年前の『建国方略(その作者は日中両国で親しまれる孫文先生)』に言及される「東方大港」こそが呂四港である。呂四港は、江蘇省の海への新しい玄関口であり、1年前に10万トン級貨物ターミナルが2つ稼働以来、合計100隻以上の外国貿易船が停泊し、昨年末には上海港集団が投資し、10万トンコンテナターミナル2基が稼働。2022年グローバルコンテナ港建設10大ニュースにも選出された。今年末には、入港鉄道と内陸河川ターミナルの開通により、「鉄道が港区を連ね、内陸河川がターミナルに到達し、港が大洋に通ずる」という近代化された集散システムが形成される。将来的に呂四港はさらに遠洋航路を拡大し、上海国際海運センターのコンテナ港の北翼として発展し、上海洋山港区、寧波北崙港区とともに3つのハブを形成する。2035年の取扱量は800万TEUに達し、啓東と日本の貿易交流はより緊密になるだろう。

商務局・姚賽花局長 進出誘致プロモーション

  • 中国地図の東端、長江、東シナ海、黄海が交わる場所に位置する啓東は、国際都市・上海の対岸、長江デルタ都市群および上海都市圏の中核都市の一つ。啓東は海を隔てて日本とは400海里しか離れておらず、上海から東京まで2時間のフライトで往来可能。域内総生産は、中国国内の1,800以上の県級市中23番目、経済開放度が高く、発展活力に満ちた都市である。
  • 日本と啓東といえば、2人の代表的人士の名が挙がる。すなわち、「日本近代産業の父・渋沢栄一」と、「清朝末期の実業家/教育者・張謇」であり、彼らこそが中日近代史上の「実業の父」である。二人は、それぞれの国の工業近代化に貢献し、社会変革の激動の時代に業績を残した。「学者の精神と商人の才能」を実践した渋沢栄一と、「商いこそ儒教」と主張した張謇は、対面したことこそないが、互いの功績を惜しみなく称え合った。
  • 長江デルタ都市群は、中国で最も完全な産業システム、最もダイナミックな経済発展、最も強い総合力を持つ都市群の一つである。長江デルタを代表する上海は、中国の経済、金融、貿易、海運、技術革新の中心地であり、常に日本企業の投資・起業の第一候補となってきた。啓東は「上海から1時間圏内」の中核都市として、外資の発展に適したプラットフォーム、技術、人材などのサポートを備え、日本企業の発展の重要な担い手となっている。
  • ここで、より体系的かつ直感的な理解を促すため、啓東を4つの側面から簡紹介したい。
 
  1. 啓東と上海の位置関係~上海の北のゲートウェイ
    啓東は長江河口の北側に位置し、川と海が交差する長江デルタの中心部に所在する。啓東と上海崇啓大橋で結ばれ、浦東まで直線距離で50km強、「上海から1時間圏内」の中核都市である。上海と啓東の交流は、日本の東京と千葉の関係性に相似している。
    現在、長江デルタの一体化、長江経済ベルトの建設、江蘇省沿岸開発の新ラウンドなどの国家戦略が当地に集結し、啓東は政策が重なる「チャンス期」、発展が加速する「黄金期」を迎えている。上海都市圏の「1+8」空間協同計画において、グローバルサポート地と位置づけられ、上海都市建設の東風に乗り、啓東は「時代の寵児」となりつつある。2022年、同市のGRPは2.2%増の1,391億元、一般公共予算収入は84.5億元。トップ100県級市ランキングのうち、総合力で23位(4ランクアップ)、グリーン開発で13位、投資潜在力で10位、科学技術革新で10位にランクされる。
  2. 啓東と上海の交通網~長江デルタのハブ都市として
    近年、多くのインフラ交通の建設が加速し、交通の便は激変。河川と海を結び、効率的な複合輸送を実現する「海陸空公共鉄道水上河川」の総合交通体系が加速中。
  3. 啓東と上海の産業連関~近代化産業新都市
    近年、啓東は上海都市圏における「4+2+2」産業クラスターにフォーカスし、上海周辺のハイエンド産業チェーンを拡張し、重機、港湾物流、新エネルギーなどの港湾産業、半導体設備・材料、生命健康、知能製造などの戦略的新興産業、電動工具、ハイエンド機械設備などの特殊産業を中心とする現代産業システムの構築に力を注いでいる。
  4. 啓東と上海の共同支援~住みやすく、働きやすい都市を目指して
    的確な政策支援、効率高い政務サービス、効果的な産業配置、イノベーションプラットフォームの能力が高さ、快適な生態環境などに特色。
  • 国家の「長江デルタ一体化」の実施と、上海が世界に影響力を持つ国際メガシティとしての建設が加速する中、啓東は熱意をもってお客様をお迎えしたい。啓東は、投資家に最高品質と効率的なサービスを提供し、最高のビジネス環境を作るために全力を尽くしたい。

資料のダウンロード

▼ 以下の姚賽花局長の説明資料のPDF版(中国語のみ:31.6MB)のダウンロードはこちらから。
姚賽花局長
▼ 以下の配布資料『啓東 投資指南』のPDF版(中国語/日本語併記:5.6MB)のダウンロードはこちらから。

案内状 ※終了しました。

日本語版案内状

(2023-02-21 ・ 137KB)

中国語版案内状

(2023-02-21 ・ 688KB)

本件お問い合わせ先

日中経済協会業務部(担当:澤津)
TEL: 03-5545-3113
E-mail: naoya.sawazu[at]jc-web.or.jp ※[at]@に変換ください。
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