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【参加報告】第22回環黄海経済・技術交流会議(11/14・別府)

当協会・堂ノ上専務理事講演
2024/11/21掲載

11月14日、「第22回環黄海経済・技術交流会議(大分会合)」が別府市で開催され、日中経済協会は、経済産業省九州経済産業局からの招きにより、堂ノ上武夫専務理事が本会議に登壇し、同月9日に第17回が開催されたばかりの「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」の取組を、日中のカーボンニュートラルに係る経済・技術交流事業のベストプラクティスの具体事例として紹介しました。

「環黄海経済・技術交流会議」は、東アジア・環黄海地域の経済圏域の発展と交流の深化を目指す経済交流プラットフォームとして、2001年3月にスタートしました。これまでに九州・韓国・中国の順に持ち回りで22回開催。3国政府(日本:九州経済産業局、韓国:産業通商資源部、中国:商務部)によるコミットのもと、年に一度、3国の関係者が一堂に集い、交流を深化させることを目的として開催されています。

日中経済協会は、昨年の大連開催に北京事務所が参加したほか、主に日本と中国での開催時に協力してまいりました。

第22回環黄海経済・技術交流会議(大分会合)

日時:2024年11月12日(火)~11月15日(金)
場所:立命館アジア太平洋大学(APU)/杉乃井ホテル
規模:約200名(九州・韓国・中国の政府、経済団体、企業等)
主催:
  • 九州 九州経済国際化推進機構(会長:九州経済連合会会長、顧問:九州経済産業局局長)
  • 韓国 産業通商資源部、韓日経済協会(代表:産業通商資源部通商協力局長、共管:韓日経済協会常勤副会長)
  • 中国 商務部(代表:商務部亜洲司司長)
テーマ:持続可能な環黄海経済圏の形成〜カーボンニュートラル・高度外国人材に係るベストプラクティスの共有と環黄海地域への展開~

九州:星野光明・経済産業省九州経済産業局長

この環黄海経済・技術交流会議は、九州、中国、韓国の政府、自治体、経済団体、企業等の代表者が一堂に会する地域協力のプラットフォームとして、2001年から3カ国の持ち回りで開催されており、今回で22回目を迎える。長年にわたり維持・発展してきたこの会議が、市政100周年を迎えた歴史ある温泉地・別府、そして国際色豊かな学生が集う立命館アジア太平洋大学(APU)で開催されることを喜ばしく思う。

この会議はこれまで、政府間のハイレベル協議において高く評価されている。直近では今年5月に韓国で行われた「第9回日中韓サミット共同宣言」においても言及され、地域間交流のプラットフォームとして大きな期待が寄せられている。

今回の大分会合では、「持続可能な環黄海経済圏の形成」をテーマに、喫緊の課題であるカーボンニュートラルとイノベーションの源泉として高度外国人人材についてのベストプラクティスの共有および環黄海地域への展開を図ることを目的として開催される。

日本は従来の化石燃料中心の産業構造から、クリーンエネルギー中心への転換を目指したグリーントランスフォーメーションを推進しており、今後10年間で150兆円を超える投資を予定している。大分県は鉄鋼業や化学工業などCO2排出量が多い産業が地域経済を牽引しており、産学官の協力により「グリーンコンビナート大分推進構想」を策定している。この構想では、水素の供給と利用、カーボンリサイクルを軸に脱炭素化を目指し、持続可能な成長を両立させることを目指している。本日はこの取組についても大分県からご説明いただく。

また、高度外国人人材について、別府市には外国人留学生が非常に多く、APUには韓国から300人、中国から450人の留学生が在籍しており、キャンパス内では日常的に外国の方々が学んで交流する光景が見られる。

中国代表団には昨日、韓国代表団には先ほど、APUのキャンパス内を見学していただいた。大分県産の杉材を用いた新しい校舎もご覧いただけたと思うが、私自身もこんなキャンパスで学びたかったと思う。

本日は、昨日ここで開催されたビジネスフォーラムの報告を受けた後、カーボンニュートラルと高度外国人人材について、自治体や大学の立場から取組の発表をいただく。経済、産業、人材など様々な分野において二国間、または日中韓3国の取組を紹介していただく。

最後に、MOUの署名式を行う。1つは日中韓三国協力事務局とAPUの間、もう1つは大連市経済協力サービスセンターと日中投資促進機構の間のMOUである。三カ国の多様な主体が一堂に会するこの会議を通じて連携が強化され、共に事業に取り組み、具体的な成果を創出することは非常に重要である。

本日の発表される事例や署名されるMOUが、環黄海地域におけるさらなる協力や取引の拡大、そして人材交流の進展へとつながることを大いに期待している。

韓国:金鍾喆・產業通商資源部通商協力局長

日本の未来産業と人材養成の中心地として台頭している大分県別府市で、韓日中の協働範囲について模索する第22回環黄海経済・技術交流会議を開催できることをうれしく思う。

現在、グローバル通商環境は、グローバル経済の断片化と地政学的な危機によって新たな経済パラダイムにシフトしつつある。このような状況の下、世界経済の22.5%、世界貿易の20%を占める我々韓日中3カ国にとって、安定した貿易や投資環境を作るためのより積極的な役割が求められている。2019年以降、5年ぶりに開催された韓日中サミットでは、3国の首脳間で世界経済の繁栄と安定に向けて経済・社会全般の交流を深め、未来世代の交流を拡大することで意見が一致した。特に首脳同士の共同宣言文では、環黄海経済・技術交流会議を活用した3国の地域間協力を拡大することで合意した。これに基づき、今こそ我々は相互互恵かつWin-Winの協力関係を更に発展させる積極的な役割を果たすべき時期に来ている。その意味で、本日第22回交流会議を契機に、3国間の経済協力の方向についていくつか述べたい。

まず第1に、3国間の相互尊重と信頼に基づいて、相互貿易と投資を活性化させることが求められる。我々3国は、製造業と技術力を基盤に経済成長を実現し、原材料・素材部品などサプライチェーンの面でも緊密に結び付いている。このような背景から、3国はサプライチェーン協力を強化し、外国投資企業に対する予測可能性を高めることが必要。

第2に、気候変動対応などグローバルイシューにも共に取り組むことが重要。気候変動の危機は、個別の国の努力だけでは解決できない。韓日中3国が協力し、水素など無炭素エネルギー分野で力を合わせてグローバル気候危機を乗り越えることを期待する。本日の会議でも、釜山広域市、大分県、江蘇省での気候危機対応の政策課題について報告があると承知している。

最後に、3国間の包摂的成長に向けた協力を強化することが求められる。2024年には韓国でAPECサミット、日本で大阪・関西万博、ハルピンで冬季アジア大会など多くのグローバルイベントが予定されている。環黄海経済・技術交流会議も韓国で開催される予定。これを契機に具体的協力プログラムが推進されることを期待している。また、未来世代同士の協力も強化が必要。今回のテーマの1つである外国人の人材誘致についても、3国の地域・大学間協力を基に産業技術人材を養成する必要がある。APUには韓日中、東南アジアなど約109国・地域から多くの留学生が在籍しており、彼らは既にここで共に未来を描いているといえる。

来年の本会議は、韓国の大田広域市で開催される予定。大田市の紹介を最後に行う予定である。ご在席の皆様の支持と参加をお願いしたい。

中国:王立平・商務部アジア司長

別府市は非常に清らかで、花も美しく咲き誇る。雰囲気は暖かく、文化も魅力的であり、別府市が非常に特別な場所であると深く感じた。今回、このような素晴らしい都市で会議ができることをうれしく思い、感謝の意を表したい。

中日韓は世界の重要な経済圏として、人口は世界の20%、経済規模は24%を占める。世界の繁栄と発展に重要な役割を果たしてきた。地理的にも近接し、経済的な相互補完性があり、協力の条件が整っている。2024年は日中韓協力の25周年を迎える。3国の首脳は5月の会議で東アジアの協力を促進し、中日関係の安定的な発展を推進し、国民の幸福につながることを確認した。

李強総理は首脳会議で、経済貿易の連携を深め、サプライチェーンの安定と円滑を維持し、早急にFTA交渉を開始し妥結すること、3国の科学技術・イノベーションをリードし、人的・文化的な交流を強化し、持続的な発展を促進することを提案した。これに対し、日韓首脳からは積極的な賛同を得た。

中国は日韓の最大の貿易パートナーであり、日韓もまた、中国の第2、第3の貿易パートナーである。中日、中韓の貿易規模は各々3,000億ドルを超え、良い状況で推移している。特に中国の対外投資は拡大しており、年間12億ドルに達している。

中日韓の協力には大きなチャンスがあり、双方向の利益に合致し、世界の繁栄にも寄与している。今は世界が変革を迎える重要な時期であり、中国は日韓と共に時代の変化に応じたサプライチェーンの安定を維持し、新たな生産力の育成に取り組みたい。さらに、世界のグリーン発展にも力を注ぎたい。

今年の環黄海経済・技術交流会議では、持続可能な発展、貿易拡大、グリーン低炭素の実現、人材交流の強化などのテーマについて意見交換を行う。中国側の参加企業や地域からは、バイオ医薬、観光、文化、越境EC、EV、スマート製造、グリーンエネルギーなど多岐にわたる分野での協力意向が示されている。日本と韓国の企業ともマッチングが行いたい。

中国商務部アジア司は、日韓の経済主管当局と共に、環黄海のこのメカニズムを有効活用し、3国の企業にサービスを提供し、協力のポテンシャルを掘り起こし、日中韓の協力モデルを構築していきたい。

中日韓は隣人同士であり、友好交流を推進することは3国の共通の使命である。互いに学び、知見を共有することが永遠のテーマである。

来年の第23回会議は韓国の大田で開催される。中国はさらに多くの企業を引き連れて参加したいと思う。3国の協力が強化され、環黄海の協力がさらに深化することを期待している。また、質と効果の向上も図りたい。これからの皆様の発言に期待するとともに、今回の会議で相互理解を深め、多くの収穫が得られることを祈念したい。

本件お問い合わせ先

日中経済協会業務部(担当:澤津)
 TEL: 03-5545-3113
 naoya.sawazu[at]jc-web.or.jp ※[at]は@に変換ください。
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