【出張報告】第11回国際クリーンエネルギーフォーラム(12/3-4・珠海)
2024/12/09 Upd.
2024年12月3日~4日に、広東省珠海市横琴(マカオの隣)で開催された「第11回国際クリーンエネルギーフォーラム」に参加してきました。1日目の開幕式とメインフォーラムのうちで注目するべき部分をまとめましたのでご報告します。
ポイント
- 再エネ設備容量は、2024年で40%を達成。2030年で60%、2060年で75%を目標。
- 主力電源は再エネ、ベースメント電源は水力と原子力、不足調整電源は火力、ピーク調整電源は蓄電池、にする計画。
- IT/AI制御された(マイクロ)グリットで再エネを最大限導入。そのための電力市場も構築。
- エネルギー安全保障は、イノベーション(再エネ)で解決。
構学衆 国家電投集団総経理助理
- 国家電投が投資した再エネの設備容量は1145万キロワットで、中国外が72.6%。
- 研究開発に注力しており、最先端原子力発電や300MWガスタービンも開発。
- AIなどのIT技術を使った新しい系統システムを開発。
- スマートエネルギーシステムや医療管理システムの開発も行っている。
- 100キロアット燃料電池スタックを備えたFCバスをボアオフォーラムなどに提供。
- 珠海市横琴には、56億元が投入されて、中国最大の集中型エネルギー供給システムが構築されている。
銭智民 全国政協常委、人口資源環境委員会副主任
- 再エネ設備容量は、2024年10月で12.8億キロワット、40%。2030年には27億キロワット、60%、主力電源に。2060年には60億キロワット、75%。
- 再エネは、グリーン水素、グリーンアンモニア、グリーン燃料に転換。
- 2060年の中国のグリーン電力量は、40000億キロワット時、うち再エネは21.4億キロワット、9億トンの石油に相当する。
- エネルギーは「資源属性」からイ「ノベ―ジョン属性」へ。
- 中国の100メートル風力発電技術で109.4億キロワット、太陽光技術で456.1億キロワット、中国の潜在的発電量は95.8億キロワット時。全国消費電力の10倍、2060年の全国消費電力の6倍に相当。
- 再エネは、過去の「受動的適応」から今日の「能動的サポート」に。将来は「グリッド制御(スモールグリット自動適応運転)」へ。
- 2024年に工信部が発表した「关于推动未来产业创新发展的实施意见」では、核エネルギー、核融合、水素エネルギー、バイオエネルギー、太陽光、新型畜電池といった6つの分野に集中すると述べている。
- グリーン技術のうち商用化されているのは15%のみ。今後10‐15年、グリーン技術が勃興する。イノベーションが無尽蔵の再エネを推進する。
- 中国のグリーン技術は再エネを創出するのに力不足。米国、日本、ドイツに遅れている。協力してイノベーションを推進し、迅速に突破を図らなければならない。
- 再エネは、既存エネルギー産業、工業、交通、建築、農業、国防などの領域で、電力、化学加工、材料、環境保護、電気電子、スマート制御等の学問領域で、各国と高いレベルで科学技術競争を行っている。
- 2060年には、非化石エネルギーは80%を超え、末端消費電力消費量の60%となる。水素エネルギーは10‐15%を占める。
- 2060年には、クリーンエネルギー設備容量は90%を超え、再エネが主力電源、水力と原子力が基礎電源、火力が不足保障・調整電源、蓄電池がピーク調整電源、となる。
- 石油や天然ガスなどの化石エネルギーは、徐々に、水素など基礎的グリーンエネルギーに代替されていく。
- 世界の再エネ設備の多くを中国企業が、特に海外進出した中国企業が生産している。
- 一方で、再エネの261の国際標準のうち、中国は16しか担当していない。
卒亜雄 中国職工技術協会副理事長、電力専委会名誉会長、連合国国際生態生命安全科学院院士
- 新型電力系統を構築するため、(1) クリーンエネルギーを主体とする供給への対応、(2) グリーンで高効率を志向する消費エコノミーへの対応、(3) デジタル化とスマート化を特徴とする技術革の実施、(4) 有効な管理体系の構築が必要とされている。
- 具体的には、(1) 水力、火力、原子力、風力、太陽光、蓄電等の協働補完、(2) 「純負荷」から「供給と需要の一体化」への転換(システムの相互作用能力と需要応答能力が求められる)(3) 電源と系統が負荷に対して相互対応するように転換を図る。
- 広東省陽江市では石炭+原子力+洋上風力+蓄電のシステム、四川省金沙江では水力+太陽光+風力+蓄電のシステム、チベット東南クリーンエネルギー基地では水力+風力+太陽光+蓄電+超高圧送電のシステムで実証を行っている。
- 開放して統一された電力市場の構築、特に、グリーン電力取引、グリーン証書取引、二酸化炭素排出権取引などをより効果的に連結させ、協調発展推進しなければならない。
- 電気料金の調整メカニズムを構築する。石炭電気取引価格と緊急供給容量補完メカニズムを徐々に確立し、蓄電投資を回収する電力価格を保障し、送電価格メカニズムの柔軟性を高める。
- エネルギー源ごとの価格公平性を高め、市場主体の調整能力を発揮させるため、電力量電気料金、容量電気料金、緊急予備電気料金、ピーク電気料金などの協調を図り、規範統一を図る。
- そして、電力市場の価格規則を統一的に規範化する。
- エネルギー供給構造を最適化する。太陽光、風力、水力などのクリーンエネルギーに加え、伝統的発電を合理的に配置し、デジタルスマート電力網を構築する。
- 完璧な電力市場メカニズムを構築する。中長期契約取引と現物取引(当日取引とリアルタイム取引)を平行させる革新的なモデルを構築する。中長期契約取引は全体の70%、標準電気料金として、基礎供給を担う。当日取引は全体の20%、変動電気料金として、動的バランスの最適を図る。リアルタイム取引は全体の10%、ランダム電気料金として、関係者の経済効果を最大化する。
- 最後に。(1) エネルギー安全保障を確保し、不足保障は石炭が行う。(2) グリーン化を堅持し、生産や生活のグリーン転換を図る。(3) コアは系統である。系統において、再エネの消費と調整の能力を高め、末端での再エネ電気の消費を高める。(4) 技術がキーである。国際的に先進的なエネルギー技術革新システムを構築する。