<モダレータ:Fung Group 主席 ビクター・フォン氏>
香港空港管理局会長 ジャック・ソー氏
- 9+2の都市(※)が調和することで香港の成長を支えている。
- 香港の空港は貨物の往来が盛んで、東莞(とうかん)市との往来が多い。また、3本目の滑走路を建設中で、今後は“空港都市”として、ショッピング、医療、食事などのニーズをとらえたい。
- アリババと協力してアジア最大の物流センターを建設中。DHLの物流センターも拡張している。
- 一帯一路の沿線国家におけるFS調査や融資などの成功事例を紹介して欲しい。その上で、より多くの人々がリスクも考慮しながら進出して欲しい。
(※)香港とマカオに加えて、広東省の「一核一帯一区」構想の「一核」に属する9都市(広州市、深セン市、佛山市、東莞市、恵州市、中山市、江門市、珠海市、肇慶市)を指す。「一核一帯一区」構想とは、地理的条件に加え、省内各市の相対的な強みを考慮して省内を3つのエリアに区分する考え方。
バリュー・パートナーズ・グループ会長 チェー・チェン・ハイ氏
- 世界のIPO市場で香港は第1位。中央政府も支援しており、今後契約や協議書がより多く交わされることになるだろう。先物取引市場なども活発。※調べたところ、「世界第2位」というデータもあり
- 香港、さらにはGBA(粤港澳大湾区、グレーター・ベイ・エリア)の強みを活用して、金融分野とテクノロジー分野で欧米ー中国、中国大陸ー香港を繋ぎたい。
- 現在多くの資金が一帯一路のプロジェクトに投資されている。しかもこれらの資金は米ドルではなく人民元建てである点が強みである。
中国銀行香港副会長 孫煜氏
- 一帯一路は中国が提唱したものだが、同時に世界の公共財であるため、インフラ整備により各国を繋ぐ必要性がある。しかし、一部の沿線国では融資の環境が整備されていない。そこで、中国の金融機関としてこれらの国々に支援を行っている。
- 一帯一路が2013年に提唱された翌年から、中国銀行香港は「都市の銀行」から「地域の銀行」になる戦略を 打ち出した。そのため、香港だけでなく、東南アジアやGBAなどもビジネスのターゲットとなっている。
- 一帯一路の沿線国家との間におけるモノなどの自由な流通が重要である。現状を見ても、一帯一路のニーズに基づき、製品やサービスが多様化している。
- デジタル人民元は規模が大きな構想なので、まずは支払方法など人民の生活を足元で便利にしていくことが重要である。
- GBAや一帯一路など、いずれもリスク管理が重要。また、若い人材のスキル向上がカギとなる。
万科集団名誉会長兼創設者、深セン国際交流協力財団会長 王石氏
- 深センは40年前には何もなかったが、地理的な優位性を活かして珠江や珠海が発展を遂げた。
- カーボンニュートラル(C/N)の目標が昨年打ち出されたが、例えば深センの公園なども自然保護にしっかりと取り組んでいる。経済発展と同時に持続可能で環境に配慮している点も顕著である。
- 深センの発展には、科学技術などの分野で香港との融合が奏功したという要因が挙げられる。今後は更なる発展に向けて、香港のニーズをくみ取る必要がある。
<質疑・応答>
問:投資家として、一帯一路をどのように見ているか。
答:一帯一路関連のプロジェクトのうち、3割は香港経由である。一方、外国人の多くは中国のソフトパワーをあまりよく知らないという現状もあると思う。ハード面だけでなく、様々な側面から香港、さらには中国全体を知ってもらう必要がある。(チェー・チェン・ハイ氏)
答:若者の人材育成について述べたい。香港にある航空学院には香港のみならず、GBA、さらには一帯一路沿線国の学生がいる。彼らは今でこそ学生や若手従業員だが、いずれそれぞれの持ち場でマネージャーなどのポジションにつき、今後の一帯一路圏のビジネスを担っていくだろう。(ジャック・ソー氏)
問:一帯一路について、すでに大手銀行がインフラ建設の基盤を作った。しかし、今後は様々な面から融資が難しくなるのではないか。リスクの分散を含めてどう考えればよいか。
答:統合が必要。この統合とは、人や様々なリソースを結びつけることを意味する。(チェー・チェン・ハイ氏)
問:不動産開発のビジョンについて。
答:そもそも、不動産とは投機の対象ではなく住むものである。投機目的で不動産価格が高騰するのは良いことではない。ひとつの視点として、C/N向けの投資や関連する取り組みが重要だと思っている。これは、例えばどのように省エネを行うか、どうすればCO2の発生を抑制できるかを不動産分野で推進することを指す。これを「グリーン開発」と呼ぶこともあり、特に4大銀行がグリーン投資を推進しているという実例もある。(王石氏)
以上