<日中間に存在する根本的な違い>
・日本ではランニングコストを含めて中長期的に事業計画を策定する一方、中国ではまず大規模なインフラ投資を行う傾向
があるが、その先に明確なプランがないことも多い。
・中国の変化が速い。石炭を使用する大型設備が7割を占める状況が、わずか数年のうちに天然ガスを使用する設備が7割
に切り替わった。現在は新型コロナウイルス感染症の影響で各種往来が制限されているが、いざ元に戻ると、物事が一気に
動き出すのではないかと感じている。
・日本では実証事業に対する支援枠組みがあるが、中国では「実証が成功した暁には」補助金を申請できる仕組みが多い。
<対中ビジネスにおける課題やニーズ>
・昨今多く聞かれる「省エネ・環境」や「カーボンニュートラル」は対象範囲が広く、具体的にその中のどの分野や技術に
中国側のニーズや日本の製品や技術が持つ優位性があるのかが必ずしも明確でない。
・現地パートナーの重要性
(例)中国側カウンターパートのトップが技術面に明るく、事業の推進にあたり技術面の課題なども忌憚なく意見交換
でき、スムーズに進めることができた。
(例)中国側カウンターパートのトップが構想レベルでは「ぜひやろう」という雰囲気だったが、いざ実務レベルで話を
するとかみ合わないことや、中国側の別の人物が異なる考えを持っており、その人物のところで意思決定などが
止まっていたこともあった。
<中国における「水素」の位置づけについて>※日中省エネ分野でホットなテーマ
・中国はダブルカーボン目標のもとで石油+天然ガス、さらにダイバーシティとして水素エネルギーをメインに取り組んで
いると思われるが、実際にはクリーンコール(石炭のクリーンで高効率な利用)が主流。自国のエネルギー源として、
多様な選択肢を持っておきたい中で、水素はあくまでそのひとつなのではないか。
・中国では石炭火力が主流である一方、世界の主要国が石炭からの脱却を進めている潮流も無視できないと思う。その潮流に
合わせるために、水素をベースロード電源とすべく取り組んでいるのではないか。そこで、まずはブルー水素、いずれは
グリーン水素をメインにしていきたいという思惑があり、その中で日本の技術が必要だと言っているのではないか。
・中国における水素の利活用は沿海部と内陸部の経済格差を埋める起爆剤だという位置づけもあるのではないか。
産業(商材)が沿海部ほど豊富でない内陸部で、例えば今まで廃棄していた副生水素が商材になれば地方経済が潤う、
より大きな循環に繋がる。